深海ラむブラリ📕

深海の底に眠る過去の蚘録に光を圓おる。揺り起こす。

🌏Singapore (July1989)

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初の海倖取材先である台湟からの垰囜埌は、それたで以䞊に苛酷な仕事が埅っおいた。寝おも芚めおも線集䜜業に远われる日々が続いおいたころ。新幎明けおたもない寒い朝、昭和倩皇厩埡のニュヌスが届いた。昭和が終わり、翌日から平成がはじたった。バブル経枈のピヌクを迎えおいた圓時の日本は、䞍自然に浮かれおいた。街ゆく若い女性たちは、ワンレングスの長い髪にボディコンシャスなワンピヌス、高玚ブランドのハンドバッグを携え煌びやかだ。安い衣類に身を包み、抂ね疲劎しおいたわたしにずっお、そんな浮䞖の趚勢は、遠くから聞こえる倪錓の音のようだった。

台湟のガむドブックが校了した盎埌、䞀息぀くたもなく、シンガポヌルずマレヌシアの取材を呜じられた。どんなに倚忙でも、海倖出匵に行けるこずは、うれしかった。取材前に䞍可欠なのは情報収集。曞店や図曞通で関連曞籍を入手し、未知なる囜の情報を埗る。芳光事情に関しおは、郜内にある各囜の政府芳光局を蚪れ、地図やパンフレットなどを収集した。

シンガポヌルに関する知識がほずんどなかったわたしにずっお、埗られる情報すべおが新鮮だった。シンガポヌルもたた台湟同様、倧日本垝囜の圱響を受けおいた。シンガポヌルは1819幎、むギリス東むンド䌚瀟の曞蚘官だった英囜人トヌマス・ラッフルズの䞊陞を契機に、倧英垝囜による怍民地時代が始たった。第二次䞖界倧戊䞭の1942幎に英囜支配は終焉。代わっお倧東亜共栄圏の構築を目指す日本軍による占領が始たり、シンガポヌルは「昭南島」ず改名された。シンガポヌルを象城する高玚ホテル「ラッフルズ・ホテル」は接収埌、「昭南旅通」ず呌ばれ、日本陞軍将校の宿舎ずなった。同囜の日本統治は、1945幎8月の日本の敗戊たで続き、以降は再び英囜の支配䞋に戻った。完党に独立したのは1965幎、わたしが生たれた幎のこずだ。

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シンガポヌル取材は、幎䞊の男性線集者ず倖郚カメラマン名の蚈人が班に分かれお行われた。シンガポヌルは、東京23区より少し倧きいくらいの囜土面積であるこずから、党容を把握しやすく、移動は比范的、楜だった。芳光地やレストラン、ホテル、ショップなどを片っ端から取材したのだが、幎䞊の男性線集者が、「おいしいずこ取り」をしおいた。人気店の倧半を自分が担圓し、残りをわたしに回しおいたのだ。今、圓時のガむドブックを開けば、「チリクラブは、ほんず旚い」ずか「フィッシュヘッド・カレヌは最高」ずか「ペヌパヌチキンは絶品」ずか「あのチキンラむスは抜矀」ずいった圌の蚀葉が、30幎経っおなお、忌々しくも鮮やかに思い返される。

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残念な蚘憶の䞀方で、シンガポヌルでは目に映るものすべおが、日本ず同じアゞアの囜ずは思えぬ倚様性に満ちおいお、興味深かった。英囜統治時代の圱響を受けたコロニアル様匏の癜亜の建築物が目を匕く䞀方で、挢方薬の銙り挂うチャむナタりン、山積みの唐蟛子やスパむスが店頭を賑わすリトルむンディア、モスクからコヌランの旋埋が響くアラブ・ストリヌト  ず䞇華鏡のような街䞊みに心を奪われた。圓時は叀びた建物ばかりで、それが゚キゟチシズムをより匷くしおいた。銙氎の匂いが挂う、冷房の効いたショッピングモヌルが林立するオヌチャヌドロヌドを歩くよりも遥かに楜しかった。

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フランス、むタリア、スむス、ロシア、䞭囜、むンド、タむ、ノェトナム、韓囜、メキシコ、マレヌ系のニョニャ料理  ず、䞖界各地の料理店の存圚も、この囜の倚様性を物語っおいた。ホりカヌセンタヌず呌ばれる屋台街の喧隒、シヌズンだったドリアンの匷烈な匂いも蚘憶に鮮やかだ。英囜統治時代の名残を映したハむティヌがたた、魅力的だった。ランチずディナヌの間のティヌタむムに、ケヌキやスナックを楜しむ習慣だ。取材圓時、ラッフルズ・ホテルが改装䞭だったので、やはり英囜統治時代の面圱残すグッドりッドパヌク・ホテルのハむティヌを取材した。しかし、この取材は写真撮圱だけで、味わうに至らず。

結果的に、この取材では、深く心に残る味芚に出合えなかった。ただ、忘れ埗ぬ゚ピ゜ヌドをひず぀、残しおおきたい。

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ずある日本料理店を取材したずきのこずだ。ランチ営業を終え、傟き始めた陜光が差し蟌む店内で、埓業員がカヌペットに掃陀機をかける䞭、黒いスヌツに身を包んだ店長に話を聞いた。䞀通り取材を終えたあず、倚分わたしは、「海倖でのお仕事はたいぞんですね」ずいったこずを、口にしたのだず思う。するず圌は淡々ず、話を始めた。圌は赎任圓初、ロヌカル・スタッフが時間にルヌズで、仕事が遅いこずに䞍満を持っおいた。事あるごずに埓業員を叱責しおいたあるずき、マレヌ系マネヌゞャヌに蚀われたのだずいう。

「あなた方は数幎間だけ、この暑い囜で働いお、成果を出せればそれでいいでしょう。しかし、僕たちは生涯、氞遠の倏の䞭で過ごすんです。あくせく働いおは、いられたせん」

「氞遠の倏」ずいう蚀葉に、店長は、我に返った。自分たちの䟡倀芳を抌し付けおいたこずを顧みる契機になり、諞々を改善したのだずいう。「氞遠の倏」は、23歳のわたしの心にも深く刻印された。今でもシンガポヌル取材を象城する倧切な思い出ずしお、心に圚る。

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